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【特集】大塚竜太氏【大型連休明けは上値指向鮮明、どうなる5月相場】 <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―米景気と金利動向に関心高まる、乱高下の為替相場の影響は―

 4連休明けとなった7日の東京株式市場は主力株を中心に買いが広がり、日経平均株価は大きく上値を追う形となった。前週末に発表された4月の米雇用統計の内容は雇用者数の増加幅や賃金の伸びが事前コンセンサスを下回ったことで米利下げに対する期待が再燃し、米国株市場ではNYダウをはじめ主要株価指数の上げ足が加速した。これを受けてきょうの東京市場もリスク選好ムードに包まれ日経平均は一気に3万8800円台まで水準を切り上げた。ここから先も強気優勢の地合いが維持されるのかどうか、今後の相場展望と投資対象について東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏に話を聞いた。

●「強い米経済を背景に上値余地広がる」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京市場は強弱観対立のなかも次第に上値指向を鮮明としそうだ。ただ、きょうは日経平均が急反発したものの短期的には4万円台までの戻り売り圧力が意識されやすい日柄にあり、当面値動きは重い可能性もある。

 日本株を見るうえでやはり米国株の動向が大きなカギを握る。前週末に発表された4月の米雇用統計は事前予想を下回る内容だったが、基本的に米景気は強いという見方は変わらない。コロナ禍以降も財政出動効果が経済の活力に反映されている。早期利下げに対する思惑や最近は利上げの可能性まで取り沙汰されたが、大統領選挙を控えるなか米連邦準備制度理事会(FRB)の政策として、当面は利上げはもとより利下げもないとみている。

 一方、国内では日銀が早ければ6月の金融政策決定会合で、遅くとも7月の決定会合で利上げに踏み切る可能性が高いとみている。ただ、株式市場へのネガティブな影響は限られよう。日本企業の業績は総じて好調でありもっと自信を持ってよい。決算発表では慎重なガイダンス(業績見通し)が嫌気され株価が売られるケースはあるものの、3月決算企業にとってはまだ第1四半期の段階に過ぎず、上方修正含みの銘柄が多いことは、今後の株価に心強いフォローウインドとなる。

 外国為替市場もこれから先、ドル・円で1ドル=160円を上回るような円安には振れにくいと考えている。円安は基本的に株式市場にはプラスだが、ここまで波乱含みの円安で不安心理が増幅されるようなケースがあったものの、1ドル=150円台の往来であれば株式市場にとって追い風といえる。とはいえ、前述したようにしばらくは売り物をこなす時間も必要で、向こう1ヵ月でみた日経平均のレンジは3万6500~4万円を想定している。

 物色対象としては、まず金利上昇局面でメリットを受けやすい銘柄として、多角的な事業展開で懐も深いオリックス <8591> [東証P]に着目。また、資源エネルギー関連では総還元性向が高く、“バフェット効果”でも話題となった総合商社トップの三菱商事 <8058> [東証P]。半導体関連では東京エレクトロン <8035> [東証P]が狙い目といえる。同社は今週10日に決算発表を控えるが、仮に今期の見通しがコンセンサス未達で売られるような場面があれば、そこは買い場と心得たい。このほか、 冷凍食品でトップシェアを有するニチレイ <2871> [東証P]にも目を配っておくところ。物価高で冷凍食品の需要が喚起されており、同社にポジティブ材料となる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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